2006.8.25 勝手にRECOMMEND 展覧会レビュー
ギャラリー白,ギャラリー白3 個展

小吹隆文

「白熱と静謐のコントラストが独自の魅力を放つ」

館勝生さんは、1980年代から大阪を拠点に活動を続けている画
家。
1980年代には「関西ニューウエーブ」といわれる盛況があった
が、その渦中にいた一人でもある。
かつての作品は羽虫のようなフォルムが特徴だったが、現在は、一
方で抽象度を増しつつ、もう一方では絵具の物質感を生かした作品
へと変化している。
まず無垢のキャンバスに鉛筆で縦線と楕円形を組み合わせた形が描
かれる。素早く激しい線で、形としては以前の羽虫を彷彿させる形
象だ。
それを起点に、様々な色の絵具の塊をキャンバスに落としてはペイ
ンティングナイフで抉り取る作業を何度も何度も繰り返す。
キャンバスには跳ね飛んだ絵具の染みが点々と残り激しい運動の痕
跡を残す。同時に積み重なった絵具の山が抉り取られる際に出来る
複雑な形象、そしてマーブル模様が生々しい物質感を放っている。
一点集中の白熱と余白部分の静謐。両者の対比から生まれる余韻こ
そ、館勝生作品の醍醐味だと思う。