2000.8.14
ギャラリー白 個展

中澤照幸

館勝生の新作を観る。
<コンポジションとバルール>
省略された地図。鳥瞰された地形、アンデェス山脈、コンゴ台地、
ナイアガラ曝布。東洋趣味、余白が語るもの。
選択された色彩が出会う。画面の中の出来事と同様に、或いは同様
程度に、画面の終焉(フレームアウト)する場所が私の視覚を捕え
る。龍安寺石庭や枯山水に観るコンポジションへのアプローチ。地
と図が主従関係から解放されもう一度新たに囲い込まれる。
<反シェイプド・キャンバス>
油彩絵具の持つメディウムの艶やかさと、作家の身体性の拡張、あ
るいは制約による筆致の集積が成す形態。それはイメージを伴う。
作品が絵画であることに、いささかの疑いもなく(大芸術としての
絵画/美術の王道)イメージの解体、微分、を画策しつつ<絵づく
り>の足場を外すことはできないジレンマ。これこそに現代的な道
化としての正当性がありうる。以前にも増して、<テクニカルなも
の>技術によってグローズアップされるものが、作品の主題性に近
づいている様な感触を得た。それはもう日常の言語では追跡できな
い種のように思える。
ぢゃ、美術的な、芸術的な、美学的な言説を準備すればいいのかと
言えば、そうでなく、ほとんど翻訳不能な概念や直感を平明な日常
言語のリアリティーに対訳することこそが感者にとってスリルのあ
る重要な仕事のはずだ。館勝生の新作はそのような事を更めて考察
させられた作品展であった。