2006.7
ギャラリー白 Direct paintig 案内状

鳥山健(ギャラリー白)

「Direct paintingによせて」

絵画というのは技術ではない。技術であれば同じ方法を使えば同じ
ものが出来る。
しかし絵画は同じ方法でも人ごとにまるで違うものが出来る。人は
その違いを作家の非常に個人的なものとして、見て喜ぶのである。
この三人展の各々の作家は手に直に絵具を塗り画布に描くが、三人
ともなぜそうしたのかはそれぞれに異なる。
倉科は塗った絵具をけしとり残った線が絵画になる。消したり塗っ
たりする行為の果に絵画を完成しようとする。それは大変東洋的な
思想を現そうとしているが、逆に現代美術の今の風景であるように
思える。三人のうち一番若いこの作家の美術的風土は他のモダニズ
ムの絵画に育ってきた二人とやや異なる。館は内面から湧出するリ
アリティを捕らえるために手で描き、山中は自分の身体を使うこと
で絵画が玄妙なものを現出させようとしている。各々の作家は絵画
のリアリティを求めて同じ方法を用いて違う世界にあそぼうとして
いる。絵を見るということはそこのところに目が届かなければなら
ない。それがなければいかなる議論も無駄である。絵画を見るとい
うことをこの展覧会で楽しんでもらいたいものである。